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やなぎみわ『婆々娘々!』展。

国立国際美術館で開催されている、やなぎみわ の『婆々娘々!』(ポーポーニャンニャン)展に行ってきた。
今回の展示では、「My Grandmothers」シリーズ、「Fairy Tale」シリーズ、新作の「Windswept Woman」シリーズ(ポスター写真)が公開されている。
「老い」と「若さ」について、考えさせられる作品群だった。
「老い」は、自分にとって本質的にはまだ遠くはありつつ(年齢による細かな変化を感じることは既にあるけれど)、心の奥には未知への恐怖として確実に存在している。えてして、その感情はネガティブに近寄りがちなものだけれど、やなぎみわ の作品には「老い」とは何なのかを見つめ直させてくれる、新しい視点が溢れている。
やなぎみわの作品に描かれる「老い」は、力強い。可愛い。優しい。寂しい。哀しい。
個人的に、「My Grandmothers」シリーズの「KAHORI」の切なさにグッときた。その他の作品にアクティブな老女像が多いからだろうか、余計にその哀しさが際立っている気がして。
新作の「Windswept Woman」は、照明を落とした暗い空間で、巨大な写真立て(小さな写真立てをそのまま巨大化したようなデザイン。背面の板をおさえる金具なども忠実に再現されている。)に写真がおさめられていて、圧倒される存在感。自分がとても小さく弱い存在になったような感覚。その中で見る、「老い」と「若さ」を両有する女性たちの姿は、かなりのインパクト。
部屋の奥には、ミニチュアのテント(街回りの劇団がたてたような)があり、しゃがみ込んで覗き込むと、中では女性たちが力強く踊り狂う姿が上映されている。皆が腰を低くして覗き込んでいる姿自体が、面白い光景になる。
作品は力強く、メッセージも明快。ドギツい絵作りに好みは分かれるかもしれないが、一度観てみることをオススメする。
9/23(火)まで。
展示の話をしていたら、意外と近くで やなぎみわ と繋がっていることを知った。
世界は狭い。

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