HOME » Misc, Review

劇団 維新派『呼吸機械』を観てきた。

投稿日 2008/10/10閲覧数 7,707 viewsコメント数 No Comment add to hatena (6) add to del.icio.us (0) add to livedoor.clip (0) add to Yahoo!Bookmark (0)
劇団 維新派『呼吸機械』を観てきた。

2008/10/4(土)、維新派『呼吸機械』を観てきた。感想を書き留めておく。
「<彼>と旅をする20世紀三部作 #2」。第一部は『nostalgia』。

呼吸機械

演劇とか、ほとんど観たことのない人間なので、「維新派」自体も聞くまで知らなかった。

呼吸機械

無謀にも、初見のうえに第二部だけれど、チケット買って行ってきた。

呼吸機械

手作り感満載の看板。

今回は琵琶湖湖畔に舞台を設営。野外公演は、4年ぶりだそうな。
屋台も出てて、プロジェクターで映画の予告流してて(『おそいひと』。これはこれで観たかった。維新派の公演が終わった後、21時過ぎから上映していたけれど、次の日朝から仕事だったので無理だった。)、ちょっとアングラなお祭りのよう。時間と場所の感覚を狂わされる気分。

呼吸機械

開演前。まだ、舞台は真っ暗。
17列あったけれど、最後列Q列だった(何故)。まぁ、舞台を俯瞰的に観れたので、それはそれで良かったのだけれど。何かが始まる前の、この期待感と焦燥に満ちたざわめきは心地いい。

呼吸機械

琵琶湖の波打ち際に連続して続く舞台。(写真は、呼吸機械 公演BLOGから。)

これはこれで夕陽が綺麗なんだけれど、開園19時時点では陽も落ち、湖面が青緑色の照明でライトアップされた。これが、すごいんだ。湖面のさざなみが、まるであつらえたように舞台の背景に投影される。舞台が湖面からグッとせりあがってきているような、そのまま湖の底へ呑み込まれていくような、「舞台」と「その他」という、本来はあるだろう境界線が曖昧になって、不思議な感覚を受けた。

以下、維新派への前知識も愛も、演劇への教養も、何もないまっさらな状態で観た感想。「それ違う」、とかは勘弁。色々と感じるところがありました。

「喋らない台詞、歌わない音楽、踊らない踊り」

リフレインされる単語。分解された言葉。脳内の言語パーツをそのままピンセットで取り出したらこんな感じになるんだろうか、と思う。意味を成さないようでいて意味を成し、ただ連綿と漂って行く言葉たち。分解され表象化された言葉たちは、組み合わされて文章の呈をなした状態よりも、原始的な力と尊大さに満ちている。あるモノを表現する最小単位の言葉。それ以上でも、それ以下でもない、ひと塊の言葉言霊。研ぎ澄まされていて、とても綺麗だ。塊は投げられ、ぶつかり、共鳴し、空中や水中に消えて行く。

言葉と同じように身体も分解されている。足踏み、全力疾走、腕を突き出す動作。解体された身体と動作が、個人の中で複雑に再構成され、集団の中でさらに複雑に組み合わされる。一人では分解されバラバラだった身体が、集団によって秩序と規律を与えられ、意味を与えられる。精神を分離した、純粋なる身体

白塗りの死者の踊り。過去の物語。
<彼>は、その中を、ただゆっくりと過ぎて行く。傍観者として。未来からの亡霊として。

いつだって跡に残るものは、抽象化・象徴化された事象の、ある一部分でしかない。

突き詰めれば、物語性など必要ないのだと思う。突然始まって、突然終わる、ひとつの所業。それだけで、「何か」を表現することはできる。分解され、極限まで削り取られた本質の部分だ。手を挙げる、振り向く、一歩踏み出す、声をあげる。それだけで伝わることの、何と多いことだろう。瞬きをするだけだって、人は何かを伝えることができるし、何かを読み取ることができる。

台詞も音楽も踊りも、分解し、それぞれ個別に磨いた後、ある一定の物語性とルールに基づいて「演劇」として再構成したもの。それが維新派の作品なのだろう。

「クセになる。」と言われた意味が、よくわかった。

きっと、また、足を運ぶことになるのだろう。
日常は、いつも、曖昧で複雑でとめどなくて、本質を見ることは困難で息苦しい。薄ら白い膜の下に隠されて、ぶつかることもなく、ただ柔らかに干渉し合いながら、存在している。気づけば、陸から水に足を踏み入れている。そんな日常を、軽妙にブッ壊して欲しくなるに決まっている。飛沫をあげて、乱暴に、やさしく、吹き飛ばして欲しくなるに決まっている。

観に行く機会を与えてくれた人と、このタイミングで久しぶりの野外公演を観にいくことができた幸運に、感謝。

【追記】
知人から追加でもらった情報。
野外公演が終わると、舞台は全部燃やされるそうだ。刹那的で、最後の爆発みたいで、後には灰しか残らなくて。ちょっと、かっこいい。
あと、ラストに湖を流れていく、<彼>。裏にモーターでもつけているのかと思っていたら、ウェットスーツ着た劇団員が 8人で泳いで押していたらしい。めっちゃ、人力。波の具合によっては、結構命がけだったそうな。。

維新派 オフィシャルサイト
呼吸機械 公演BLOG
劇団維新派 – Wikipedia

Trackback URL

0 Trackbacks / Pingbacks

    コメントする »

    CAPTCHA


    Entries (RSS) | Comments (RSS)